オーストラリアで最もチャレンジングな4WDトラックの一つ、ケアンズ近郊にクレブトラック(CREB Track)というのがあります。以前から行ってみたいと思っていたこのCREBトラック、週末を利用して1泊2日の4WDアドベンチャートリップへ行ってきたので、その様子とともに紹介します。
クレブトラック(CREB Track)とは
CREBとは(Cairns Regional Electricity Board)の略で、ケアンズからクックタウン方面へのびる送電線のメンテナンス用に作られたルートです。CREBトラックはケアンズ市内から北へ120km、デインツリー(Daintree)から始まって北へ向かい、ウジャルウジャル(Wujal Wujal)というアボリジニのコミュニティ地域までの全長71kmのルートです。
デインツリーヴィレッジからさらに北へ10km、農場を突っ切るようにデインツリー川の上流に進むこと15分、デインツリー川を横断するポイントへ着きます。ここがスタート地点になります。
このデインツリー川横断から始まり、熱帯雨林を駆け抜け、赤土の急勾配を登り、さらなる川の横断が待ち受けるこのトラックはまさしくチャレンジングなオフロード。
通行可能シーズンは乾季の5〜11月のみで、しかもシーズン中でも雨が少しでも降れば瞬時に通行不能になるというかなりの難路。雨天後は、通行止め情報を必ず確認する必要があります。
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CREBトラック体験記
さて、スクールホリデー中の9月末に週末キャンプでCREBトラックへ行こうと決めたのは1ヶ月前の8月頃。ケアンズの気候はだんだん暑くなり、冬が終わって春の始まり、まだまだ乾季の真っ只中で晴天の続く日々でした。
しかし、トリップ予定の2週間前頃、完全に季節外れの雨の日々が始まり、特にCREBトラックのスタート地点であるデインツリー付近では1日200mm以上の降水量が数日続くと言う予想外の事態。このまとまった雨の影響でトラックの南からのルートは通行不可、最初の川渡りであるデインツリー川は通常より3m水位が上昇して渡航不可と、思いもよらぬ状況になりました。このままでは無理だろう。。
が、そこから毎日気象状況をチェック、日々の降水量と川の水位の変化を確認しながら様子を見ます。参考にしたのは、
- オーストラリア気象局のウェブサイトBoM (https://www.bom.gov.au/)
- Facebookのコミュニティグループ (Local CREB Track conditions)
の2つ。
川の水位は1週間ほどで通常水位に戻り、川の横断は問題なくなりましたが、トラックの路面状況がまだ不確定。天気の良い日が数日続いて乾いてきたと思ったら小雨が降ってまた滑りやすい状況に、という繰り返し。Facebookのコミュニティ「ローカルCREBトラックコンディション」では数日おきに投稿、状況をアップデートしてくれていたので、それを見ながら一喜一憂してました。
トリップ3日前にローカルの方がトラックを通ったとの報告、「一部まだぬかるんでいるところはあり、倒木もあったが車が通れる幅まで移動させたので通行はできる」というアップデートがありました。そして、その日から当日までの天気予報は晴天続きという良い情報。
最終判断は結局トリップ前日になりました。最後の装備確認として、必要になるかもしれないと判断したチェーンソーを前日の仕事終わりにBunningsへ行って急遽購入しました。1本の倒木で道が塞がり、通れなくて引き返すようなことにはなりたくないと。前夜に組み立てて使い方を確認、万全の準備で翌日朝を迎えました。
当日の朝、天気は快晴。自宅を7時過ぎに出発し、2時間でデインツリー川の横断ポイント、CREBトラックのスタート地点に着きました。



写真や動画で何度も見たことのあるこの景色。実際に見てみると思ったよりも近く見えましたが、でも川渡りの川幅としては今までの経験の中で一番広かったかもしれません。


川の手前で車を停め、タイヤの空気圧を調節、40psiから22psiまで下げます。そして、川の走行ラインを確認。クロコダイルの生息域なので、歩いて川を横断して確認することはせず、少し高いところから全体を見渡します。水はとても澄んでいて、川底が見えるくらい。ラインは、川に入ったらまず下流の方へ向かい、大きくゆっくり旋回しながら反対岸へ向かいます。見た感じは問題なさそう。
いざ、車に乗り込み出発です。ローレンジの2速でゆっくり入水。水深はタイヤが隠れる60-70cmくらいでしょうか、川底も小石が多い硬い水底なのでしっかりグリップも効きながら問題なく反対岸に渡りました。これが全部で10ある川渡りの1つめです。


対岸に行き、引き続き牧場ののどかな風景の中を走ること10分ほど、熱帯雨林の中へ入っていくと様子はガラッと変わりました。

陽の当たる地面はある程度乾いているものの、日陰のところは赤土のぬかるんだ地面があちらこちらに。「デインツリーの赤土は濡れると地肌がつるつるになり、歩いて登るのですら困難に」と言われたりしますが、その意味が良く分かりました。



間もなく、ハイレンジの1速でも上がれなくなり、そこからはずっとローレンジの2速、3速。クリークを渡るポイントもいくつか出てきつつ、登っては下ってを繰り返しながら熱帯雨林の中を進んでいきます。
ふと、前方遠くの山に、頂上付近へ向かって山肌がさらけ出ている赤い1本の筋が見えました。かなり遠くに見えましたが、進んでいくとその赤い1本筋が目の前にまるで壁のごとく立ちはだかるように現れました。


Big Red Hillと呼ばれているCREBトラックの難所の1つ、赤土の急坂です。ここはかなり陽が当たるところにも関わらず、見た目で分かるつるつる光る滑りそうな赤土の地面。登り始めて気づきました、これは止まったらまずい。登り始めたら止まれない、止まったら登れない。1kmくらいあったでしょうか、4分近くひたすら駆け上がりました。ここは小雨でも降って地面が濡れたら間違いなく上がれないだろうなと実感しました。

さて、CREBトラックは全長71kmとありますが、デインツリー側からスタートして半分くらい、40-45kmほどでYindilli Camping Groundというキャンプ場に着きます。ここにゲートがあり、デインツリー川横断からここまでの南パートがチャレンジングパートになりますね。
ここからWujal Wujalまでの北パートは、メンテナンスされた未舗装の砂利道で、いくつかまだクリークを横切るところはありますが、ローレンジは必要なく、いたって普通の未舗装道という感じです。なので、インディリキャンプグラウンド(Yindilli Camping Ground)へはCREBトラックの北側からアクセスすれば、そんなにハードなオフロードトラックを通らずに行けるということです。



途中Roaring Meg Fallsに寄ってランチ休憩をし、Wujal Wujalサイドのゴール地点に着いたのは午後2時半、出発からちょうど4時間半でした。

その後、予約していたBloomfield Campingにチェックインし、その日はキャンプ場でゆっくり、ビール片手にのんびりしてました。
翌日はチェックアウト後、もう一つの有名なオフロードトラックのブルームフィールドトラック(Bloomfield Track)を南下し、ケープトリビュレーションを通って夕方に帰宅しました。
まとめ
1泊2日の4WDアドベンチャートリップで行ってきたCREBトラックを紹介しました。
CREBトラックですが、乾季で地面がカラカラの乾いた状態の時ならば、ただ簡単な山登りのトラックでしょうが、小雨でも降って地面が濡れたら瞬時に通行不可になってしまうという極端な違いがあります。このコンディションの差がCREBトラックを「最もチャレンジングな4WDトラックの1つ」として人々の冒険心をくすぐるのでしょう。
CREBトラックに挑戦するときは、日程選びが非常に重要になってきます。必ず乾季の期間(5〜11月)で、しかも直近に雨が降っていないこと。もし雨が降っていた場合は、必ず通行止め情報をチェックし、絶対に無理をしないこと。日程の変更は柔軟に対応できるようにしましょう。
今回私たちはソロで行きましたが、できれば複数台で行くのが望ましいです。そして、必ず誰かにこのトリップへ行く旨を伝えておきましょう。そして万全の準備をした上で、このチャレンジングな4WDトラックを思う存分楽しんできてください。走破した後の達成感はとてつもなく大きいものになるでしょう!
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