サバンナウェイのロードトリップの見所として欠かせないのが、5つの世界遺産と15の国立公園がルート沿いに点在しているところです。
その中の1つが、クイーンズランド州の北西の端、隣のノーザンテリトリー州との州境にも接するところにあるブージャマラ国立公園(Boodjamulla National Park)です。
ブージャマラ国立公園(Boodjamulla National Park)
ブージャマラ国立公園は、ローンヒル(Lawn Hill)地域にあり、以前はローンヒル国立公園(Lawn Hill National Park)として知られていたので、こちらの呼び名のほうがなじみが深いかもしれません。
ケアンズから1100km、グレゴリー(Gregory)からだと西へ100kmのところに位置します。グレゴリー経由の他にも数ルート、北からと南からもアクセスできますが、どのルートにせよ最後の数十kmは未舗装道、しかも後半は粗めの道が続きます。
クイーンズランド州内のサバンナウェイのロードトリップの紹介として、クロイドン、ノーマントン、カルンバ、バークタウン、グレゴリーなどの町がありました。これらの大部分のルートは舗装道路になっています。
ケアンズからカルンバまではずっと舗装されていますし、ノーマントンからバークタウンの区間は一部が未舗装になっていますが、迂回ルートを通ればこの未舗装区間も避けることができます。なので、二駆車やレンタカー、キャラバンでも問題なく行けます。
道中に点在する小さな町に立ち寄りながら、地元の方に話しを聞き、その土地ならではの魅力を存分に味わい、ゆっくり楽しみながら旅をしていく。ロードトリップの醍醐味ですね。
しかし、ここから先、ブージャマラ国立公園へ向かうのは、よりアドベンチャー向けになりそれなりの準備が必要になってきます。四駆車推奨、事前の整備点検済み、スペアタイヤとタイヤ修理キット、エアコンプレッサー、簡単な工具、充分な量の水と食料などなど。
これらを揃え、準備万端で向かうアウトバックの彼方、ダートロードを走り抜けると本当のオアシスにたどり着けるかもしれません。
ローンヒルの南西部、クイーンズランド州とノーザンテリトリー州をまたいで広がるバークリー台地(Barkly Tableland)があります。ここからの豊富な淡水の湧き泉から始まるローンヒル川(Lawn Hill Creek)によって形成されたのがローンヒルゴージ(Lawn Hill Gorge)です。そして、その峡谷沿いにあるのがこの国立公園の唯一のキャンピングエリアのローンヒルゴージ・キャンピングエリア(Lawn Hill Gorge Camping Area)になります。
ローンヒルゴージ・キャンピングエリア(Lawn Hill Gorge Camping Area)
グレゴリーの町からだと100km、1時間半でキャンピングエリアに着きます。途中から未舗装になり、進むにつれて砂利も大きく粗くなってくるので、急がずゆっくりです。
近づいてくると、辺りに砂岩の丘、切り立った崖を見渡しながらのドライブになります。
そして、この豪華な入り口ゲートに。ワクワクしますね。
キャンプは国立公園内のキャンピングエリアになるので、クイーンズランド州政府のウェブサイトからの予約になります。事前に済ませておきましょう。
テントサイトとトレーラーサイトがあり、これは区画の大きさの違いだけですね。
私たちはテントなのでテントサイトを予約。ですがトレーラーサイトでテントを立てている人もいました。テントならどちらでもOK。トレーラーならサイズ的にトレーラーサイトでないと狭いでしょう。
施設は、水洗トイレと水シャワーがあります。キャラバンパークにあるような感じでとても綺麗です。
残念ながら、キャンプファイヤーは禁止されています。
ここでのおすすめアクティビティーは主に2つ、ウォーキングとカヌーです。
レインボー・サーパント・トラック(Rainbow Serpent Track)
キャンピングエリアの地図を見ると、ゲートを通って国立公園内に入り、まずあるのが日帰り専用の大きな駐車場。この脇から始まり、ローンヒルクリークのカヌー貸出場所まで続く、わずか100mのウォーキングトラックがレインボー・サーパント・トラック(Rainbow Serpent Track)です。
途中にはレンジャーのオフィスもあり、多数のディスプレイが歩道沿いに並んでいます。
ここだけで、ブージャマラ国立公園の情報はすべて手に入るのではないかというほど、さまざまなディスプレイがありました。
着いたら、まずはここを散歩しながら情報収集しましょう。
ローンヒル川遊び(Swimming in Lawn Hill Creek)
キャンピングエリアはローンヒルクリーク沿いにあり、クリークに沿って歩道があります。その歩道の所々に階段が設けられていて、川に入りやすいようになっています。
エメラルドグリーンの水と周りに広がる緑豊かな植生、先のほうには砂岩の切り立った崖も見られます。
道中の赤い乾燥したアウトバックの風景から打って変わって、この辺りはまさしく野生生物にとってのオアシスですね。
ちなみにキャンピングエリアからすぐのこの辺りは、川幅は数十メートルあり、両サイドは切り立った崖がほとんどです。もちろん足がつくような深さではないので、川遊びには浮き具を忘れないようにしましょう。
私たちは、子供のライフジャケットと小さなビート板1つしか持ってきていなかったので、子供たちはライフジャケットを着て、大人は立ち泳ぎをしながら1つのビート板を奪い合う羽目になってしまいました。。
立ち泳ぎ疲れたので、川沿いのウォーキングトラックを歩いて少し下流の方へ移動すると、川幅が一気に狭くなっていきました。
川の反対側へ渡る橋があり、このあたりで見られる魚の紹介のディスプレイもありました。しかし、ローンヒルクリークではフィッシングは禁止されています。
途中でレンジャーの方に会ったので、子供と一緒に遊びやすい場所を教えてもらいました。
キャンピングエリアからだと歩いて5分くらい。底も見えるくらい浅く、ある程度流れもあって、ゆっくり涼みながら遊ぶのにとても良い場所でした。子供たちも安心。何しろ泳ぎ続けなくていいですからね。
インダリ滝(Indarri Falls)
ブージャマラ国立公園のローンヒルゴージを代表する景色がインダリ滝(Indarri Falls)かもしれません。
観光案内パンフレットなどでよく見られるところです。
インダリ滝トラック(Indarri Falls Track)
キャンピングエリアから始まる全長1.5km、片道1時間のウォーキングトラック、インダリ滝トラック(Indarri Falls Track)で歩いて行けます。周回ルートになってますが、川沿いから離れていく易しいほうのルートだと約30分でインダリ滝のスイミングスポットへ行くことができます。
もちろんカヌーで行くことも出来ます。キャンピングエリア近くの貸出場所からスタートし、上流へ向かって、こちらも20分くらいでこのスイミングスポットまで来られるそうです。
階段のついたプラットフォームがあり、カヌーもここへ停めておけるようになっています。歩いて来た人もカヌーで来た人もここでひと泳ぎしてリフレッシュ。暑い日中には最高の避暑地になってます。
ここからカヌーでさらに上流へ行きたい場合は、カヌーを一度水から上げて滝の上まで運びます。そこからまたアッパーゴージを目指して行くこともできます。ウォーキングトラックも同じくアッパーゴージまで続いています。
私たちはここで数時間泳いで遊んで過ごしました。ここも深さがありますが、所々に岩が水面近くまでせり上がっていて浅くなっているところがあり、足をついて休むことが出来る良い休憩スポットがあります。
インダリ滝ルックアウト(Indarri Falls Lookout)
インダリ滝から340m、崖の上へ登って行くと周辺を一望できるインダリ滝ルックアウト(Indarri Falls Lookout)があります。
上から見るとよく分かりますね。奥のほう、アッパーゴージから流れてきて、いくつかに分かれている小さなインダリ滝が流れ落ち、右手前、下流のほうへ向かって流れていきます。
カヌーが数艇停まっていて、その周辺で泳いでいる人、岩場に座って休んでいる人などが見られます。
青空とエメラルドグリーンの水と峡谷周辺の生い茂る緑、そして砂岩の断崖絶壁。
クイーンズランド州で最も美しい国立公園の1つだと言われる所以ですね。
アイランド・スタック・トラック(Island Stack Track)
ブージャマラ国立公園内には計7つのウォーキングトラックがあります。
クイーンズランド州政府のウェブサイトから見られる地図はこちら。
そのうちの1つが、往復2.6km、所要時間の目安2時間のアイランドスタックトラック(Island Stack Track)です。
キャンピングエリアからスタートし、まずはクリーク沿いを歩きます。
程なくすると目の前に砂岩のそびえ立つ崖が目に入り、ここを登っていきます。かなりの急勾配で、足元に気をつけながら上がっていくと、フラットな台地の頂上に着きます。
背の高い木もなく、360度の眺めを楽しみながらぐるっと1周周り、また元来た急勾配の道を下って戻ります。
ここも、レンジャーの方からのアドバイスで、日中は日陰がなく直射日光をもろに浴びるので、ものすごく暑くなるから避けたほうが賢明だと。1番良いのは早朝または夕方の涼しい時間帯、朝日や夕日もとても綺麗に見えますよとのことでした。
なので、私たちは5時半に起き、日の出30分前の6時に出発し、朝日を見に行ってきました。
最初のうちはまだ暗かったので、ヘッドライトを使いながら歩き始め、急勾配の坂を上がって上に着いた頃にはだいぶ明るくなってきていました。
ちょうど満月の日だったので、沈む直前の綺麗な月も見れました。
沈みゆく満月の西の空と、太陽が現れ始める東の空です。
上に上がったらあとはぐるっと1周するだけです。私たちは左に行き、時計回りに周りました。
上に上がった時に日の出がもう間もなくという時は、右に行き反時計回りのほうが良いですよ。すぐ東の空が見やすくなるので、日の出を逃さないでしょう。
崖下にクリークが見下ろせる展望スポットがあり、そこでちょうど朝日を迎えることができました。
朝日が岩肌に当たりはじめると崖がオレンジ色に輝き始めてとても綺麗!
日の出後数十分でもう暑さを感じるようになってました。見ての通り、木陰はまったくありません。これは日中に来たら大変ですね。。
出発時は一応長袖を羽織っていましたが、すぐに必要なくなりました。
1周周ってまた来た道を戻り、キャンプサイトに着いたのは7時半。1時間半で行けましたね。その後の朝ご飯はとても美味しかったですよ。
ワイルド・ドッグ・ドリーミング・トラック(Wild Dog Dreaming Track)
夕方に行ってきたもう1つのウォーキングトラックは、往復2.2km、所要時間1.5時間のワイルドドッグドリーミングトラック(Wild Dog Dreaming Track)です。
これは、アイランドスタックトラックの台地の下の崖沿いをぐるっと周りながら反対側まで歩いて行きます。アップダウンも全然なく、夕方は日陰も多かったので歩きやすく易しいルートです。
ここはアボリジナル文化にとってとても重要な場所だということで、岸壁に壁画や岩を削った彫刻アートを多数見ることができます。
アボリジナル文化をリスペクトするために写真を撮ることはもちろん、壁画や彫刻を触ったりすることも絶対避けましょう。
ロウワー・ゴージ・ルックアウト(Lower Gorge Lookout)
ワイルドドッグドリーミングの1番奥からさらにもう少しだけ進むことができます。
往復575m、30分で行けるロウワーゴージルックアウト(Lower Gorge Lookout)までの短いウォーキングトラックです。
キャンピングエリアやカヌー乗り場からはだいぶ下流のほうになる、ロウワーゴージです。このあたりではカヌーは禁止、水に入るのも避けたほうが良いそうです。フレッシュウォータークロコダイルがよく見られるそうなので。
まとめ
他にもいくつかウォーキングトラックがありましたが、私たちは今回は行きませんでした。
クイーンズランド州政府のウェブサイトからダウンロードできるブージャマラ国立公園ディスカバリーガイドにすべて詳しく載っているので、興味のある方はぜひ見てみてください。
ということで、ローンヒルゴージキャンピングエリアに2泊3日のキャンプで経験したことをふまえて、ブージャマラ国立公園の紹介をさせてもらいました。
ケアンズから1100km、サバンナウェイでクイーンズランド州を横断してたどり着くアウトバックのオアシスのブージャマラ国立公園は、クイーンズランド州で1番美しい国立公園の1つと言われているのも納得できる素晴らしい場所でした。
あとは、ローンヒルゴージキャンピングエリアから50kmほど離れたところにあるリヴァーズレー(Riversleigh)の世界遺産に登録されている哺乳類化石地域(Riversleigh World Heritage Area)も欠かせません。哺乳類の進化を研究する上で世界的にも重要な地域だとされているところで、ブージャマラ国立公園を訪れる際にはぜひこちらもチェックしてみてください。