オーストラリアの内陸部に広がっているアウトバック。オーストラリアの人口のほとんどが集中する沿岸地域から数時間、または数日かけて移動して辿り着くこの人口希薄地帯は、砂漠や森、赤土の大地がただただ広がる辺境の地。町と町の間は数百キロ離れており、町の人口も数十人から数百人といった規模がほとんど。電波はある程度の大きさの町にはあるが、ほぼ全域で圏外。そんなアウトバックでのキャンプは、都会の喧騒を離れ、時を忘れて大自然と向き合う、そんな贅沢なひとときを味わえます。
私は、10年前にオーストラリアでキャンプを始め、いろいろな場所でキャンプをしてきましたが、このアウトバックでのキャンプに一番魅せられました。今回の記事では、先日行ってきたアウトバックアドベンチャートリップ、コボールドゴージへの3泊4日キャンプの様子とともに、アウトバックキャンプの魅力を紹介していきます。
コボールドゴージ(Cobbold Gorge)
今回のキャンプトリップの目的地はコボールドゴージ(Cobbold Gorge)というところです。ここは、6年前に一度訪れたことがあり、今回2回目になります。
グーグルマップによると、距離はケアンズから480km、所要時間は6時間とあります。
では実際はどうだったかというと、キャンプ初日の朝は7時半に自宅を出発。ナショナルハイウェイ1号線、ケネディハイウェイを西へ向かって走ります。出発して2時間、マウントガーネット(Mount Garnet)で一度トイレ休憩し、ジョージタウン(Georgetown)に着いたのが12時過ぎでした。ここまでのハイウェイはずっと舗装道路になります。出発から約5時間、ここで給油とランチ休憩をしました。
休憩後、ハイウェイを左折しフォーセイスロード(Forsayth Rd)へ入り、南へ向かいます。ここから所々で未舗装道になりますが、前回来た時よりもかなり舗装が進んでおり、未舗装区間はだいぶ少なくなっていました。本格的なオフロードではなく、きちんと整備された砂利道なので四駆である必要はありません。キャラバンを牽引して行くこともできる道路になっています。ただ特に雨季の間は道路のコンディションが突然変わることもあるので、トリップの前にはこちらのサイトで必ず道路状況を確認するようにしましょう。
ジョージタウンから1時間強で目的地であるコボールドゴージビレッジ(Cobbold Gorge Village)に午後2時半に到着しました。所要時間はケアンズから休憩を入れて7時間でした。
コボールドゴージビレッジ(Cobbold Gorge Village)
アウトバックのど真ん中に突如現れるコボールドゴージビレッジ(Cobbold Gorge Village)は、まさしく砂漠の中のオアシスのようです。敷地内に入り、まずはレセプションのあるこちらの建物へ向かいます。予約、支払いは事前にウェブサイトで済ませていたので、当日受付ではその確認と、キャンプサイトの場所の案内、施設の説明等を受けました。
レセプション建物内には、受付の他に観光案内パンフレットが置いてあったり、お土産や日用品、軽食なども販売しています。こちらでトリップのお土産を見つけましょう。
チェックインが終わったらキャンプサイトへ向かいます。コボールドゴージビレッジ内にはキャビン、電源有りサイト、電源無しサイトがあり、私たちは電源無しサイトを3泊予約しました。電源無しサイトは区画区切りが無いので、空いている好きな場所を確保することができます。要は早いもの勝ちということですね。
私たちが着いた時には、他に数台しかいませんでした。焚き火ができる場所、ベンチ、水道の蛇口が所々にあるので、それらにアクセスしやすい良い場所を確保することができました。
到着しチェックイン、キャンプサイトを確保し諸々設置し終えたら、後は夕飯の時間までビレッジ内を散策しました。以前に来た時とほぼ変わりはありませんでしたね。
シャワー&トイレの建物がレセプションを出てキャンプサイトへ向かう途中にあり、その横にはBBQ施設とキャンプキッチンがあります。レセプションの向かいにはレストラン&バーがあり、ここでは朝食、昼食、夕食とすべてのメニューがあります。窯焼きのピザもありました。レストランの横にはプールがあり、その向こうにあるダムが見渡せるようになっています。ダムでは、滞在者が自由に利用できるカヤックがあり、ゴルフのドライビングレンジもあります。
施設内の散歩を終えたらキャンプサイトへ戻り、夕飯のために焚き火を始めます。キャンプグラウンドの各所にはこのように岩で囲まれたファイヤーリングがあるので、そこで直火の焚き火をすることができます。薪は持参しても良いですし、来る途中のフォーセイスロードの道脇で拾って来るのでも構わないそうです。私たちも薪はコボールドゴージに着く手前の道脇で調達しました。
焚き火を始めて良い炭が出来てきたら、持参してきた焚き火台に移してバーベキュー開始です。肉を焼いて、ソースを温めて、野菜をグツグツ煮て、あとはパンと一緒に食べます。シンプルバーベキューですね。お酒も少し飲みながらキャンプ1日目の夜はこんな感じで過ごしました。
ブッシュウォーキング(Bushwalking)
コボールドゴージの峡谷へはツアーに参加しないと訪れることはできず、前回来た時にそのツアーは参加したので、今回の滞在ではそれ以外のアクティビティを楽しむ予定で来ました。というわけでキャンプ2日目、朝食を食べた後、この日の午前中はブッシュウォーキングへ行きました。私たちがアウトバックキャンプで一番よくするアクティビティがブッシュウォーキングだと思います。
コボールドゴージビレッジから始まるウォーキングトラックは全部で4コースあり、スタート地点はすべて一緒でここからになります。まずはレセプションの向かいにあるバーに置いてあるノートブックにサインインします。開始時刻と何名でどのウォーキングトラックに行くかを書いておきます。そして帰って来た時に終了時刻を記入してサインアウトします。安全のためですね。
私たちが行ったのはラッセルズルックアウト(Russell’s Lookout)までの往復4.5kmのコースです。4コースのうち3コースはマウンテンバイクでも行けるコースで、ラッセルズルックアウトもその1つです。
前半はこのような感じでマウンテンバイクでも楽に行けるほぼフラットな道を進んでいきます。途中、The Loopというコースとの分かれ道を過ぎてからしばらく行くと、目の前に丘が現れてきます。後半はここを登ってルックアウトにたどり着くので、マウンテンバイクの場合は丘の手前で置いていったほうが多分良いかなと思います。傾斜と段差がだんだんきつくなっていきますよ。
スタートから35分で頂上のルックアウトに着きました。コボールドゴージビレッジが上から見渡せます。青空の下、どこまでも緑が広がり、所々に砂岩がむき出しになっていて赤く見え、私の大好きなアウトバック特有の色、赤と緑と青のコントラストがとても綺麗で素晴らしい眺めでした。少し休憩した後、同じコースをたどって帰ります。ルックアウトでの時間を含めて往復で1時間半くらいですね。
コースの難易度でいうと、このラッセルズルックアウトが5段階中③、残りの3コースはいずれも一番易しい①だそうです。マウンテンバイクとの併用トラックなので、そんなにアップダウンはなく、子供と一緒でも楽に楽しめるブッシュウォーキングだと思います。ただ日焼け対策、帽子、飲み水は忘れないようにしましょう。
プール&バー(Pool & Bar)
ブッシュウォーキングへ行って軽く汗をかいて帰ってきたら、すぐに水着に着替えてプールへ行きました。バーも併設されているこのプールは滞在者に大人気。訪れたのは9月後半でしたが、日中は30度を超えて日差しも強いアウトバックなので、水遊びのできる場所があるのは重要です。泳いで涼んでリラックスして、ランチまでの時間を楽しみました。ちなみに、バーは午前10時からディナーが終わる時間までオープンしてますよ。
カヤック(Kayaking)
プールで遊んだ後、キャンプサイトへ戻りランチを食べて少しゆっくりしたら、午後からはカヤックをしました。プールの目の前に広がっているダムではカヤックを楽しむことができます。大人用と子供用のカヤック、ライフジャケットがそれぞれ用意されており、滞在者は自由に利用することができます。
ダムの結構奥の方まで行くことができ、突き当たって左に行ったり右に行ったりと、色々探検することができ、鳥や動物がたくさん見れます。子供はすごい楽しめると思いますよ。もちろん私も存分に楽しみました。
アクアゴルフ(Aqua Golf)
カヤックとともにダムで楽しんだのがアクアゴルフです。カヤック乗り場から少し奥のほうがドライビングレンジになっていて、そこからゴルフをすることができます。レセプションにてゴルフクラブとボールは借りることができます。水に浮くゴルフボールは1球につき$5の保証金がかかりますが、無事にボールを返却すれば返金されます。
アクアゴルフの時は、ゴルフチームとカヤックチームに分かれ、ゴルフチームがボールを打って、それをカヤックチームが回収します。なので打ちっ放しではないですね。ダムに結構水草が浮いているところがあったので、その辺りに打ってしまうとなかなか見つけられず大変でした。。
バードウォッチング、ワイルドライフ(Birdwatching, Wildlife)
2日目はブッシュウォーキング、カヤック、アクアゴルフなどビレッジ内でアクティビティを存分に楽しんでいましたが、どこのアウトバックキャンプでも必ず楽しめるアクティビティにバードウォッチングやワイルドライフがあります。コボールドゴージビレッジ周辺では100種以上の鳥類が記録されているらしく、カヤックをしている時にもたくさん見られましたが、キャンプサイトでも様々な鳥が見られます。
鳥のほかにもカンガルーやワラビー、エミュー、オオトカゲなどもいましたよ。前回来た時に参加したゴージツアーでは淡水ワニも見られましたね。
リラックス(Relaxing)
キャンプではアクティブに過ごすのも良いですが、もちろんリラックスするのも良いですね。私がキャンプ中に必ず行うのが、スマホを機内モードにすることです。なんなら自宅出発時に機内モードをオンにしてしまいます。まずはバッテリーの節約のためですね。アウトバックキャンプはほぼ間違いなく圏外なので、スマホが電波を探し続けて余計なバッテリーを消費するのを防ぐためにします。
あとは、ニュースやSNSなど普段見てしまう色々なものを遮断するためです。デジタルから離れて自然を楽しむように心がけ、スマホは写真やビデオを撮るためだけに利用するようにしています。
キャンプサイトでゆっくりリラックスするなら、時間はたっぷりとあるので焚き火料理をしてみましょう。2日目の夕飯で私たちが作ったのはチキンとベジタブルのロースト。まずは火をおこして焚き火を始めたら料理の準備に取りかかります。準備といっても肉と野菜を適当な大きさに切ってシーズニングをふりかけ、それをオーブンの中に入れるだけです。
食材の準備ができた頃に良い炭ができてくるでしょう。オーブンの上に炭を乗せたらあとは1時間ほど待つだけです。お酒を飲んだり、おつまみを食べたり、カードゲームをしたりしながらのんびりと過ごします。
焚き火はずっと続いています。夕飯も終わり、暗くなってきたらさらに良い雰囲気になりますね。夜のデザートはやはりマシュマロ。子供たちは良い枝を探してきて、先をナイフで削って自分だけのマシュマロスティックを作ります。あとは集中してマシュマロを完璧に焼きあげるだけ。子供はデザートを楽しみ、大人はお酒もすすみ、リラックスした夜は更けていきます。この贅沢な時間を思う存分楽しみましょう。
フォシッキング(Fossicking)
キャンプ2日目はコボールドゴージビレッジ内でのアクティビティを楽しんだので、3日目はビレッジから外へ出てみました。アウトバックのドライブを楽しみつつ、このコボールドゴージ周辺でおすすめのアクティビティであるフォシッキング(Fossicking)へ行ってきました。
フォシッキングとは鉱物を採集することで、大人から子供まで誰でも楽しむことができるオーストラリアで人気のアウトドアアクティビティです。クイーンズランド州では、州政府のウェブサイトでフォシッキングのライセンスを購入し、決められたエリア内で採鉱をすることができます。
前回、6年前にコボールドゴージに来た時に初めてフォシッキングをしました。子供たちもとても楽しむことができて良い思い出になっています。
ライセンスは事前にウェブサイトで購入しておきましたが、コボールドゴージビレッジのレセプションでも購入可能です。有効期間1ヶ月、ファミリーだと税抜き$13.36でした(2024年11月現在)。
今回訪れた場所は前回と一緒、コボールドゴージビレッジから40km、車で45分のところにあるアゲートクリークフォシッキングエリア(Agate Creek Fossicking Area)です。ここは素晴らしい色や模様の瑪瑙(アゲート)が採れる世界的に有名な場所です。
レセプションにてフォシッキングエリアの地図をもらうことができます。またはウェブサイトから直接入手することも可能です。
コボールドゴージからアゲートクリークフォシッキングエリアまでは一般車でアクセスすることが可能ですが、いくつか川を横断するところがあるので、ここも事前の道路状況チェックが必要になります。特にロバートソンリバー(Robertson River)の横断は、川幅約100mの柔らかい砂地を通るので注意が必要です。
フォシッキングエリア内に入り、分かれ道にあるサインを見つけながら行きたい場所へ向かいます。地図によると、Black Soil Creek, Crystal Hill, Bald Hill, Simpsons, Blue Hills, Flanagans Hillあたりが主な採鉱場所だそうです。私たちはまずエリアの一番奥の方のBlue Hill近くへ行きました。
車を停め、すぐ横にあるクリーク沿いを歩いていきます。
クリークといってもこの時期はまったく水が流れておらず、川のへり沿いをスコップや手を使って削っていき、瑪瑙を探していきます。小さなものはすぐ見つけることができます。
1時間ほどしたら少し移動して休憩です。この日も暑く、気温は30度を超え日差しが強く照りつけます。1分で設置できる270度フリースタンディングオーニングで日陰を作り、ランチにしました。
ランチ後、また移動してエリア入り口近くのBlack Soil Creek沿いに車を停め、午後はここでもうひと探し。ここは川幅が広く、川のへりも高く、結構掘りやすく見つけやすくて良いスポットでした。
結局3時頃までここで過ごし、また途中で薪を拾ってからビレッジへ戻りました。
自宅に帰ってからきれいに洗い、いくつかピックアップしました。すでに岩が欠けて中の模様が見えているものですね。前回は7月、今回は9月と雨季が終わってからしばらくした時期に訪れたので、次回は雨季が終わって間もない4月頃、まだクリークに水が流れていて新たな層が現れているときに良いフォシッキングができるみたいなのでまたチャレンジしたいと思います。
クォーツブロールックアウト(Quartz Blow Lookout)
フォシッキングから戻りキャンプサイトでゆっくりしようと思ったら、息子がまたカヤックがしたいというので少しだけカヤックで遊んだ後、今度はクォーツブロールックアウトへサンセットを見るために出かけました。
コボールドゴージビレッジから4km戻り、このサインがあるところを左折します。ここから道なりに3km進むと辿り着きます。一応この道は4WDでのみアクセス可能となっています。
道の突き当たりがぐるっとUターンできるようになっていて、ここに車を停められます。地面から突き上げられたクォーツの岩山がすぐ見つけられるでしょう。
この岩山の上に登り、サンセット20分前から始まるショーを楽しみます。空の色が変わりゆくさまは何度見ても美しく、それを眺めながら飲むビールは最高です。
コボールドゴージに来たらこのクォーツブロールックアウトのサンセットは絶対に見逃せませんよ。前回来た時は早起きしてサンライズも見に行きましたね。
サンセットを見た後、キャンプグラウンドへ戻った時にはもう暗くなっていました。なので3日目の夜はカレー。ご飯を炊き、ルーは自宅で作って冷凍ジップロックしておいたものを温めて出来上がりです。焚き火をしながら夕飯をさっと済ませ、コボールドゴージ最後の夜を楽しみました。
そして4日目、朝食を食べてから片付けを始めて9時に出発、夕方に無事帰宅しました。
まとめ
アウトバックアドベンチャートリップ、コボールドゴージでの3泊4日アウトバックキャンプの様子を紹介しました。
ケアンズから内陸へ7時間というアウトバックにあるコボールドゴージ、道中はまさしく大自然の中を走るアウトバックドライブを体験できます。休憩を挟みながら、普段見ることのない広大な景色を楽しむことができます。
そしてコボールドゴージビレッジに着けば、あらゆる設備が整っているので安心です。キャンプグラウンドだけでなくエアコン付きのキャビンもあるので、食事もレストランで済ますならば手ぶらで訪れることだって可能です。
アウトバックキャンプでは、本当に何もない大自然のど真ん中で滞在するブッシュキャンプもありますが、このコボールドゴージは初めてのアウトバックキャンプをする方にとって私のおすすめする場所の一つです。アウトバックとある程度の設備、ちょうど良いバランスなのではないでしょうか。
普段のキャンプから少し足を伸ばして、もう少し遠くへ、そうすると今まで見たことのないオーストラリアのアウトバック、まさしく圧倒される大自然に飛びこむことができます。一度行ってみてください!アウトバックに魅了され、アウトバックキャンプの虜になるかもしれませんよ。