クイーンズランド州アウトバックにある「恐竜の首都」ウィントン(Winton)。
世界最大級の化石コレクションを誇るオーストラリアズ・ダイナソー・トレイル(Australia’s Dinosaur Trail)のハイライトとなる町です。
本記事は、ヒューエンデン編(前回の記事)の続きとなる5泊6日ロードトリップの記録です。
ウィントンへのアクセスや道路状況、必見の観光スポット(AAOD、恐竜の足跡)、そして実際に宿泊したキャラバンパーク情報まで詳しく紹介します。
ヒューエンデンからウィントンへのドライブルート
ヒューエンデンの「フリンダーズ・ディスカバリー・センター」を出発し、次に向かうのはウィントン(Winton)です。
ルートは62号線(ケネディ・デベロップメンタル・ロード)を南下します。
🚙 移動データ:ヒューエンデン 〜 ウィントン
- 距離:約215km
- 所要時間:約2時間半
- 道路状況:全線舗装路(2WD・普通車で走行可能)
62号線はハイウェイではありませんが、全区間が舗装道(Sealed Road)になっています。
そのため、オフロード仕様の四駆(4WD)である必要はありません。ケアンズからウィントンまで、ずっと舗装道だけでアクセス可能です。
⚠️ 注意点:ガソリンスタンドについて
この215kmの区間にガソリンスタンドはありません。出発前に必ず給油をしておきましょう。
途中に1ヶ所あるフリーキャンプグラウンドには公衆トイレがあり、一度トイレ休憩が可能です。
それ以外はずっと写真のような景色で、放牧された牛や羊を眺めながらのアウトバック・ドライブになります。
【恐竜以外も必見】ウィントン市街地の観光スポットと周辺情報
ウィントンは人口875人(2016年国勢調査より)、ここも牛と羊の飼育が盛んな町です。
ダイナソー・トレイルが目的で来ましたが、他にも色々と見所があるのでそちらも紹介したいと思います。
ミュージカル・フェンス(The Musical Fence)
ヒューエンデンから来て、ウィントンの町の北側から入るとすぐに見つかるのが「ミュージカル・フェンス」というもの。
フライパンやなべ、そのフタ、ドラム缶などなどを使って打楽器を作り、自由に演奏できるようになっています。もちろん無料。
常時設置されているミュージカルのフェンスとしては世界初、そして世界で唯一の場所とのこと。
ウィントンに来たらここへ訪れて一曲演奏していきましょう。
カンタス発祥の地(Birthplace of QANTAS)
ミュージカル・フェンスのすぐ裏にあるのが「WINTON Birthplace of QANTAS」という飛行機の形をした記念碑で、今年2021年の4月に出来たばかりのものです。
1920年にここウィントンで誕生したQANTAS(Queensland and Northern Territory Aerial Services Limited)は、クイーンズランドとノーザンテリトリーを結ぶ路線を主として、しばらくの間ウィントンに本社を置いていました。
この記念碑も一目見ておく価値はあると思います。
ワルチング・マチルダ(Waltzing Matilda)
オーストラリアの「非公式の国歌」と言われるほど広く知れ渡る有名な歌「ワルチング•マチルダ」の記念博物館がここウィントンにあります。
公式サイト:Waltzing Matilda Centre
世界初の歌の博物館として建設されたワルチング・マチルダ・センターは博物館としてだけではなく、ウィントンの観光案内所として、またカフェやお土産屋さんとしてでもあり、町の一番中心部にあるのでぜひ訪れたいところです。
ザ・ロイヤル・シアター(The Royal Theatre)
ロイヤル・シアター・ウィントンは現在オーストラリアで2ヶ所しか営業していない屋外映画館の1つだそうです。
公式サイト:The Royal Open-Air Theatre Winton
夜には満天の星を見ながら、映画鑑賞が楽しめるんですね。
この建物はミュージアムにもなっており、昼に訪れても中に入って見ることができるみたいですよ。
私たちは中には入りませんでしたが、ウィントンのメインストリートの中で一際賑わっている場所でした。
ウィントン・ワンダラーズ・キャラバン・パーク (Winton Wanderers Caravan Park)
ウィントンで3泊滞在したウィントン・ワンダラーズ・キャラバンパークです。
町中心部から1km離れたところにある、今年4月にオープンしたばかりの新しいキャラバンパークです。
たまたまfacebookでこのキャラバンパークを見つけ、すぐに電話をし、電源なしサイトの予約を取ることが出来ました。
🚐 キャラバンパーク利用メモ
- 料金:1泊 $30(電源なしサイト利用時)
- 予約状況:電源ありサイトは満車、電源なしは予約可でした
- サイトの特徴:ドライブスルー形式(バック駐車不要)
- 設備:トイレ、シャワー、ランドリー(新しくて綺麗)
すべてのキャラバンサイトはドライブスルー形式になっており、キャラバンをリバースして駐車をする必要がなく、とても親切なサイトの作り方になっていました。
トイレ、シャワー、ランドリーの施設も新しいだけあってとても綺麗です。
⚠️ 注意点:洗濯機について
洗濯機が2台しかなく、このサイトの規模にしては少なすぎる気がします。私たちも順番待ちしていましたが、なかなか使えるタイミングが来ず、結局洗濯は町中のコインランドリーに行くはめになりました。
元は農場だった土地をキャラバンパークにしたような感じです。
手前の方は砂利を敷き、地面を整備して電源ありのキャラバンサイトにし、奥のほうの電源なしサイトはまだ更地のままの状態。
でこぼこの荒地のところが多かったですが、比較的平らで良い場所を確保することができました。フリーサイトなので、みんな好きなところに好きなように場所を取っています。
こういうところでは、やはりキャンパートレーラーは良いですね。地面のでこぼこなんか気にしないで設置できるのが羨ましかったです。
テントだと、ある程度平らな場所を見つけて、さらにレーキでならして石とかどかしたりしなきゃいけないのがちょっともどかしい。
町の中心部から1km離れているので町灯りがなく夜は真っ暗になります。周りは農場だけなので日の出、日の入りも綺麗に見えました。
ウィントンの気候はステップ気候(乾燥気候)に分類されます。
朝晩の寒暖の差が激しく、夏は日中40度近くまで上がり、冬は0度近くまで下がる日もあるとか。
- 🌡️ 7月上旬(冬)の気温・服装メモ
- 朝晩:8度前後(かなり冷えるので防寒着必須)
- 日中:25度以下(快適に過ごせます)
夜は満天の星が広がっていてとても綺麗でした。これも町から少し離れているこのキャラバンパークだからこそ見れたのだと思います。
ウィントン・サンセット・サイン(Winton Sunset Sign)
町の西の端にあるウィントン・サンセット・サイン。
小さな丘の上にこのサインがあって、車でここを通り抜けられるようになっています。
日の入りが近くなるとそれに合わせてここを訪れる人が増えてましたね。
良いサンセット写真スポットです。
もう一つのサンセット写真スポットは、町から東へ出るランズバラ・ハイウェイ(Landsborough Highway)を走り始めてすぐ左手に見つかる、大きな「WINTON」のサイン。
ここもサインの後ろのほうに夕日が沈んでいくので、サンセットの写真を撮るのに格好の場所です。
ちなみに、WINTONの「I」はパタンと倒すことができるので、「I」を倒してそこに立って自分が「I」になり、写真を撮ることができたりしますよ。
オーストラリアン・エイジ・オブ・ダイナソーズ(AAOD):ツアーの見どころと予約方法
さて、ウィントンにあるオーストラリアズ・ダイナソー・トレイルのアトラクション2つのうち、まず1つめは世界有数の恐竜博物館であるオーストラリアン・エイジ・オブ・ダイナソーズ(AAOD)です。
公式サイト:Australian Age of Dinosaurs Museum
🚗 AAODへのアクセス情報
- ウィントンから:南東へ約24km
- 所要時間:車で約20分
- 道路状況:全線舗装済み(2WD車でアクセス可能)
- 場所:ジャンプアップ(The Jump-Up)と呼ばれる台地の上
このミュージアムはジャンプアップ(The Jump-Up)と名付けられたテーブル状の台地の上にあります。
唯一、小さな2WD車でキャラバンを牽引している場合は最後の上り坂が登れない可能性があるため、その場合は台地のふもとの専用スペースにキャラバンを停めておきましょう。
ツアー予約とレセプション・センター(Reception Centre)
AAODに到着したら、まずレセプションセンターを訪れます。ここでは、ツアーの予約や受付の他に、ミュージアムショップとカフェがあります。ここまでは自由に立ち寄ることが可能です。
🔔 AAODツアー予約の注意点(必須)
レセプションセンターから先はツアーの予約をした人以外は入れません。特に繁忙期(6月〜8月の冬期やスクールホリデー期間中)は予約がすぐに埋まってしまうため、オンラインで事前に予約することを強くお勧めします。
AAODのツアーは主に3つのサイトを訪れます。私たちが体験した順番に、それぞれの見どころを紹介します。
南半球一!化石準備研究室(Fossil Preparation Laboratory)
化石準備研究室はレセプションセンターから500m離れた場所にあります。車での移動も可能ですが、途中に絶景が見られるルックアウトがあるので、ウォーキングトラックを歩いて向かうのがおすすめです。
ここは、南半球で最も生産的な化石準備研究室です。30分のツアーでは、恐竜の化石がどのように発掘され、どのように岩石から削り出されて(クリーニングされて)復元されるのか、その繊細な作業を実際に見学できます。
- 棚には、発掘されたままの恐竜の化石と岩石が保管されている様子が見られます。
- スタッフがライトや顕微鏡、彫刻ツールを使い、復元作業を行う様子を間近で観察できます。
完全に復元された化石は、研究や展示に使われ、世界最大級の化石コレクションは今も増え続けています。
ツアー終了後も、質問をしたり、観察を続ける人が多い見どころ満載の施設です。
コレクションルーム(The Collection Room)
コレクションルームはレセプションセンターと同じ建物内にある小さなシアターです。
(ツアー実施例:研究室ツアー14:30開始 → コレクションルームツアー15:30開始)
ここでは、クリーニングされた恐竜の様々な部位の骨の化石と、全体像のレプリカが展示されています。
ドキュメンタリームービーを観ながらガイドさんの説明を聞き、巨大な恐竜の骨を間近で見ることができます。このツアーも約30分で終了します。
ダイナソー・キャニオンの展示:巨大な骨格とウォーキングトレイル
ダイナソー・キャニオンへは、レセプションセンターからシャトルバス(所要時間5分)で移動します。
このルートはシャトルバス専用で、ツアー参加者のみが立ち入ることができます。
ダイナソー・キャニオンの展示は、ガイドツアー(マーチ・オブ・ザ・ティタノサウルス)とセルフガイドのウォーキングトレイルの2部構成です。
シャトルバスを降りてすぐ、トイレや飲み水を確認した後、シェルターで説明を受け、展示施設へ歩いて向かいます。
歩き始めると、実物大の巨大なティタノサウルスのレプリカなど、迫力ある恐竜の模型が目に入ってきます。
マーチ・オブ・ザ・ティタノサウルス・エキシビジョン (the March of the Titanosaurs exhibition)
このエキシビジョンでは、ウィントン近郊で発見された全長54mに及ぶ恐竜やその他の生物の足跡(フットプリント)を再現したディスプレイが見どころです。
- ガイドマップとレーザーポインターを使い、ティタノサウルス、クロコダイル、カメ、ハイギョなど、様々な生物の移動の痕跡を辿れます。
- かつてこの地が水と緑に溢れた環境だったことが想像できます。
約30分のガイドツアー終了後は、各自でウォーキングトレイルへ向かいます。
ダイナソー・キャニオン・ウォーキングトレイル (Dinosaur Canyon walking trail)
施設のある丘の崖からせり出すように作られた、300mのコンクリート製遊歩道です。
- 遊歩道沿いには4ヶ所のギャラリーがあり、様々な恐竜のブロンズ像やディスプレイが、峡谷の自然に溶け込むように設置されています。
- 子供向けのトレーシング石碑があり、ツアーで貰ったガイドブックに鉛筆で塗りつぶして恐竜の絵を浮き上がらせるアクティビティが人気です。
- ツアー予約の際にもらえるキッズアクティビティーブック(塗り絵、クイズ、スタンプラリーなど)が大活躍します。
ダイナソー・キャニオンツアーの所要時間は公式では90分ですが、私たちは結局2時間ほど楽しみました。
帰りのシャトルバスは30分おきに往復しているので、セルフガイドを存分に楽しんだ後、タイミングを見てレセプションセンターへ戻ることができます。
世界唯一!恐竜の足跡化石「ダイナソー・スタンピード」へのアクセスと見学
ウィントンにあるもう1つのダイナソートレイルのアトラクションは、ウィントンから南西へ110kmのラーク・クワリー保護公園(Lark Quarry Conservation Park)内にあります。
⚠️ アクセス情報:未舗装区間あり
- ウィントンからの距離:約110km
- 所要時間:約2時間(余裕をもって)
- 未舗装区間:約65km(よく整備されたグラベルロード)
- 推奨事項:普通乗用車での走行は可能ですが、最新の道路状況をワルチング・マチルダ・センター(観光案内所)でチェックしてから向かいましょう。
今回のトリップの最後のアトラクションはダイナソー・スタンピード・ナショナル・モニュメント(Dinosaur Stampede National Monument)です。
公式サイト:Dinosaur Stampede National Monument
ラーク・クワリー保護公園内にあるこの施設周辺は、ウィントンとはまた違った独特の景観が広がっています。
現地で直接ツアーの予約を受け付けています。
🦕 ツアー情報
- 所要時間:45分間
- 開催頻度:1時間おき
- 補足:私たちは午後3時のツアーを予約しました。
ツアー開始までの空き時間で、周辺のウォーキングトラックを楽しむことができます。
ラーク・クワリー周辺のウォーキングトラック
周辺には2つのウォーキングトラックがあります。
- スピニフィックスサーキット(Spinifex Circuit):全長700m、所要時間30分
- ジャンプアップループ(Jump Up Loop):全長3.5km、所要時間90分
ツアー開始時刻に間に合わせるため、私たちは短時間のスピニフィックスサーキットへ。小高い丘のルックアウト(展望台)からは、周囲の雄大な景色を一望できます。
ウォーキングから戻り、施設内のカフェで待機しました。
なんと、この施設周辺ではテルストラの電波がバッチリ入ります。
ダイナソー・スタンピード:パニックになった恐竜たちの足跡化石
45分間のツアーは、まず最初に小さなシアターでのショートムービー鑑賞から始まります。ここでは、ダイナソー・スタンピードの歴史的・科学的な背景を理解できます。
スタンピード (Stampede)とは、動物などが驚いてどっと逃げ出す、殺到する様子を指します。つまり、ダイナソー・スタンピードとは、驚いてパニックになった恐竜の群れが逃げ出し押し寄せたりする様子が化石として残ったものです。
- 発見:1960年代、農場でオパールを探していた地主により、3本指の足跡が付いた岩のかけらが発見されました。
- 確認:地元の恐竜愛好家により、恐竜の足跡化石であることが確認されました。
- 希少性:これは現在に至るまで、世界中で唯一の恐竜スタンピードの記録として残る化石です。
- 発掘:1970年代に入り、研究者やボランティアが集結。1年半かけて60トンもの岩石が取り除かれました。
- 結果:210平方メートルのエリアから、3300もの足跡から成る恐竜の通り道(Dinosaur Trackways)が現れました。
- 保護:風雨による損傷を防ぐため、2002年に現在の恒久的な保護施設が建設されました。
保護された3300の足跡は科学者によって研究され、足跡の大きさ、歩幅、向きなどから、ある特定の情景が判明しました。
🦖 ダイナソー・スタンピードの情景(9,500万年前)
ラーク・クワリーの湖畔に集まったのは、ニワトリサイズの獣脚類(肉食)とエミューサイズの鳥脚類(草食)の小型恐竜およそ150頭。そこへ、ティラノサウルスの小型版のようなどう猛な肉食恐竜が出現し、飛び出して襲いかかりました。驚いてパニックになった小型恐竜たちは四方に散らばり逃げ出し、湖畔の泥の上に無数の足跡を残しました。この弱肉強食の1シーンが、足跡化石から詳細に解明されたのです。
シアターでの再現ムービー鑑賞後、いよいよ実際の恐竜の足跡がある施設内に入っていきます。
施設内では、はっきりと残る三本指の足跡をはじめ、足跡からわかる恐竜の動きの解説を聞くことができます。
ちなみに、オーストラリアン・エイジ・オブ・ダイナソーズのダイナソー・キャニオンのウォーキングトレイルにあった恐竜たちのディスプレイの一つは、このスタンピードの情景を再現したものです。
世界で唯一の恐竜スタンピードが記録として残るこの施設は、オーストラリアの国定記念物として厳重に保護されています。
まとめ:ウィントン観光のハイライトとロードトリップのヒント
前回と今回の2記事にわたり、クイーンズランド・アウトバックのオーストラリアズ・ダイナソー・トレイル(Australia’s Dinosaur Trail)を詳しくご紹介しました。
✅ ウィントンで訪れた主なアトラクション
- オーストラリアン・エイジ・オブ・ダイナソーズ (AAOD):世界最大級の恐竜化石コレクションとクリーニング作業の見学。
- ダイナソー・スタンピード:世界で唯一、恐竜のパニックの瞬間を記録した足跡化石。
- ワルチング・マチルダ・センター:カンタス発祥の地やミュージカル・フェンスなど、恐竜以外の見どころも充実。
恐竜に興味のある方だけでなく、オーストラリアの広大なアウトバックの風景や、ユニークな歴史を持つクイーンズランド州ウィントンの町を楽しみたい人にも、ぜひおすすめしたい場所です。
クイーンズランド州のど真ん中へ、アウトバックのロードトリップにチャレンジしてみませんか?
その際にはぜひ、本記事を安全・快適な旅の参考にしてみてください!
➡️ 【前回の記事】 ダイナソー・トレイルの始まり:ヒューエンデン編はこちら











































